イントロダクション

Maxにおけるシグナルプロセッシング(信号処理)

MSPは170以上のMaxオブジェクトを提供します。これらは、ユーザが、オーディオシグナルプロセッシングを実行するソフトウェア・インストゥルメントとして、独自のシンセサイザ、サンプラ、エフェクトプロセッサを構築するためのものです。


MSPで作ったフィルタとディレイ

ご存知のように、MaxではユーザがMIDIシンセサイザ、サンプラ、エフェクトプロセッサをコントロールするプログラムを設計することが可能です。


MAXによるMIDIコントロール

MSPオブジェクトを追加すると、独自のデジタルオーディオデバイス(独自のコンピュータミュージック・インストゥルメント)を設計することができ、Maxプログラムに直接組み込むことができます。インストゥルメントがMIDIコントロールにどのように応答するかを正確に指定することができ、Maxパッチの中に完全なシステムを実現することができます。


MIDIによるオーディオ処理のパラメータのコントロール

MSPオブジェクトはMaxオブジェクトと同じようにパッチコードで接続することができます。接続されたMSPオブジェクトは「シグナルネットワーク」を形成します。これはデジタルオーディオシグナルの生成やモジュレーションの図式を記述するものです(Csound のような Music N sound シンセシス言語に明るいユーザであれば、この「シグナルネットワーク」が、大まかに言って「インストゥルメント定義 - instrument definition」と似たものであると考えて下さい)。オーディオシグナルは、Macintosh では CoreAudio、Windows では MME または DirectSound、また、どちらのプラットフォームでも可能な ASIO を使って、コンピュータのオーディオ出力ジャックか、インストールされているサウンドカードから出力されます。


FMインストゥルメント用のシグナルネットワーク

このマニュアルの使い方

MSPドキュメントは、次のようなセクションから構成されています

「デジタルオーディオ処理の動作」 ではコンピュータがどのようにサウンドを生成するかについて述べています。この章は、MSPで始めてデジタルオーディオ処理に挑戦するユーザの助けとなるでしょう。すでに、この分野で多くの経験をお持ちならば、この章はスキップして下さい。

「MSP の動作」はMSPの背景となるアイデアの概要、および、ソフトウェアがどのようにMAX環境に統合されているかについて述べています。ほとんどすべてのユーザは、この短い章を読んでおくと良いでしょう。

「オーディオ I/O」はMacintoshシステム上でのCore Audio、Windows システム上での DirectSound に対するMSPのサポート、およびオーディオインターフェイスカードについて書かれています。ここでは、MSP パフォーマンスをモニタし、微調整を行なうDSP ステータスウィンドウの使い方が説明されています。

「MSPチュートリアル」には、MSP を使ってデジタルオーディオ・アプリケーションを作成するための基本に関する30 を超える段階的なレッスンが用意されています。各々の章にはパッチが用意され、MSP Tutorial フォルダの中に置かれています。MSP のセットアップが終わったら、少なくとも最初のチュートリアルを試してみて下さい。このチュートリアルにはコンピュータからサウンドを出力するためのMSP の設定について書かれています。

「MSP オブジェクトリファレンス」のセクションでは、各 MSP オブジェクトの動作を説明しています。オブジェクト名は、アルファベット順に並んでいます。

オンライン・マニュアルを読む

MSP ドキュメントの目次はブックマークになっています。そのため、ブックマークを見て、その名前をクリックすると、リストにある任意の項目にジャンプできます。ブックマークを見るには、Windows メニューから Bookmarks を選びます。各セクションの隣にある三角形をクリックすると、セクションの細目が表示されます。

マニュアルの最後にあるインデックスを利用する代りに、Acrobat ReaderのFindコマンドを利用するとなおさら使いやすいと思います。ツールメニューからFindを選んで、探したい語句をタイプします。Findは語句が最初に現れる場所でハイライトし、Find Againを選ぶと次に現れる箇所へ進みます。この機会を利用して、ユーザがどうしても必要な場合を除いて、マニュアルをプリントアウトしないで済むようにしたいと思っています。

(訳注;本サイトでは左カラムのメニューやリンクをご利用ください)

MSPユーザのための他のリソース

max-help フォルダのヘルプファイルでは、各MSPオブジェクトの使用例を、実際の動作を通して説明しています。

Max/MSP Examples フォルダには、多くの興味深く、楽しいデモンストレーションがあり、MSPで実行することができます

Cycling ’74 ウェブサイトでは、FAQ や他のサポート情報に関する膨大なリストと共に、ソフトウェアの最新のアップデートを提供しています。

Cycling ’74 では、オンラインで Max/MSP に関するディスカッションを運営しています。そこでは、プログラミングに関する質問、アイデアの交換、新しいオブジェクトやサンプルの検索を行なうことができ、これらは他のユーザと共有されます。ディスカッションに参加するための情報や、サードパーティによるMax/MSP のリソースへのガイドは http://www.cycling74.com/communityをご覧下さい。

最後に、MSPの操作上のトラブルについては、support@cycling74.comへe-mailを送って下さい。あなたの手助けをいたします。「何をしたらいい・・?」といったような、より概念的な性格の問題については、Max/MSPメーリングリストに提示されることをお勧めします。そうすれば、ディスカッションを通してコミュニティ全体からアドバイスや恩恵を受けることができます。