MSP Compression チュートリアル 1
ピークリミッタ

チュートリアルパッチを開いて下さい。

ピークリミッタ

C1m Peak Limiting というパッチでは、omx.peaklim~ オブジェクトの使用法を示しています。このパッチに、任意のシグナルを適用し、シグナルのレベルを様々に変化させると、このオブジェクトの動作を確認することができます。ほとんどのポップミュージックは、大幅なコンプレッサ処理を行なわれていますが、ここではそれほどは行なっていません。可能であれば、生のドラム録音、クラシック音楽、話し声の録音などで試してみて下さい。

メータは入力レベル、アンプの動作、出力レベルを示しています。入力ゲインを上げるとレベルはその位置まで増加しますが、その後ゲインが急に減少するため、出力は歪みを生じるレベルにまで達しないようになっていることがわかるでしょう。出力ゲインを下げると、元のシグナルからピークを取り除いたものを得ることができます。下の図はこれを示しています。

図1. ピークリミッタ処理前(上)と処理後(入力 +10、スレッショルド -1、出力 -10)

スレッショルドを上げると、音の歪みが生じ、非常に目立つようになります。スレッショルドを下げると、ゲインを示すインジケータはほとんど低い位置で止まったままになり、全体としての効果は非常に静かなものになります。出力ゲインを上げると、オリジナルのシグナルレベルに戻すことができますが、入力シグナルの中に、それまでは気付かなかったような静かなスポットがあることがわかるでしょう。音量の全体としての印象は、以前より非常に強いものに感じられるはずです。これは、非常に強くリミッタをかけた状態です。

図2では、ドラムトラックに強くリミッタを掛ける前と、掛けた後の波形を示しています。これにより、ドラムの瞬間的な打撃音を、ほとんど連続したサウンドのように伸ばしているのがわかると思います。

図 2 入力 +20、スレッショルド -12、出力 0

omx.peaklim〜オブジェクトには、応答時間(レスポンスタイム)を切り替える2つのモードがあります。モード 0では非常に速く応答するため、過渡的な状態を短時間に抑えることができます。しかし、リミッタ処理の開始と停止が頻繁に繰り返される場合、シグナルが細切れになったように聞こえてしまいます。モード 1 はもう少しゆっくりと応答します。これは、パーカッショントラックではピークを通過させてしまいますが、ボーカルや楽器に適用した場合には、より自然に聞こえます。この変化は微妙なものであるため、メータで示すことはできませんが、サウンドを聴けばわかるはずです。

ピークリミッタは、音量レベルが予測できないミュージシャンの録音を行なう場合のセーフティーネットとしてもよく利用されます。多くの録音機材にはピークリミッタ機能が組み込まれています。リミッタ処理を強くかけた場合、サウンドの音量を最大にできますが、音と音の間の「汚れ」が増加し、ミックスした結果はぼんやりしたものになってしまいます。一般的に、サウンドのスウィートニングを行なう場合には、より細かい調整ができるコンプレッサを使用する必要があるでしょう。

参照

omx.peaklim~ OctiMax ピークリミッタ